借りてきた中野孝次「わたしの唐詩選」がとても面白い。
中野さんはドイツ文学が専攻で、その著「清貧の思想」はベストセラー(私は読んでいませんが)になりました。
中野さんは昔から唐詩が好きで、自分用の「唐詩選」を作ってみようと思って、この本を書いたそうです。
最初に挙げられた詩は、杜牧の「遣懐」ですが、
その訳が軽快。
「あのころ俺は揚州紅灯の巷に身を持ち崩し、遊びが面白くてならなかった。毎晩花街に足を運んでは、酒を飲み、女と戯れてばかりいた。楚には腰ほっそりと身も軽い美女が多く、俺の掌の上でも舞を舞えそうな風情だった。あの女たちの面影は今も俺の胸中にある。だが、ああ青春歓楽の日々よ、あれもひとたび去ってしまえばすべてが夢、十年経った今俺に遺っているものはといえば、花街で派手に遊んだ男の浮名ぐらいのもの」
こう云う訳に逢うと、また次の詩の訳を期待してしまいます。
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