多岐川恭の「ゆっくり雨太郎」の次は久生十蘭の「顎十郎捕物帳」を読んでいますが、こちらもなかなか面白い。
顎十郎、本名は阿古十郎、目も鼻も口も額際にひとかたまりになりその下に厖大な顎がぶら下がった異様な顔の持ち主。北町奉行吟味方筆頭与力の叔父のおかげで奉行所の刑律前例を調べる例繰方に籍を置く。
この顎十郎が抜群の推理力で御用聞のひょろりの松五郎を指図して難事件を解決するという塩梅。
同じ快刀乱麻の活躍でも、妻にする決断がつかず情人のるりに気兼ねしながら暮らしている雨太郎とは違い、顎十郎は誰にも遠慮がありません。
ただ、人情の綾があるだけ雨太郎の方が含みがあるようです。
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