2024年3月28日木曜日

藤沢周平・三屋清左衛門残日録

  三屋清左衛門は、百二十石で継いだ家禄を用人まで上り詰めた自身の働きで三百二十石まで増やした。しかし妻を亡くしてから3年後の52歳で致仕して家督も息子に譲った。致仕を考え始めたのは、妻が死んだ3年前で、勤めにも疲れが出始めていた。

 用人時代の働きの褒賞として、藩から隠居部屋まで頂いた清左衛門は、悠々自適を思い描いていたが、いざ隠居してみると、世間から隔絶されたように感じる。

 そこで、青年時代に通った剣道場で竹刀を振り、塾で経書を読み直すことを考えるが、そんな清左衛門を世間は放っておいてはくれなかった。

 まず現れたのは、昔の道場仲間で今も奉行を務める友人・佐伯熊太で、厄介事の解決を頼まれる。その後も、色々な面倒事に遭遇していく というのが、筋立てです。

 最後に清左衛門は、昔の知り合いが病気の回復をめざして必死に努力する姿をみて、いよいよ死ぬまでは力を尽くして生き抜かなければならぬ、と思います。

 よく気の付く嫁とのふれあいもこの小説のふくらみを助けているようです。

 要領の悪い説明ですが、一言でいえば、大変読み応えのある小説でした。

 

 


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