先日来読んでいた谷崎潤一郎の台所太平記は読み終わり、今は、谷崎の回想記とも云うべき「雪後庵夜話」を読んでいます。私が読んでいるのは全集の一巻ですが、単行本は、われというひとはただひとり、と云う雪後庵夜話の内容を一言で表すような装丁になっているようです。
最初は、妻松子との遭遇のいきさつや妻と云うよりいつまでも想い人でいて欲しいと云う谷崎の思いなど、次は森鴎外、夏目漱石、幸田露伴など先人作家や同時代の作家のこと、元々資産など持たない生まれで原稿で稼ぐしかなかったが、遅筆のために旅行など充分楽しむ余裕が少なかったこと、作家と云う生業のお陰で自分だけの世界に閉じ籠ることができることが良いことなど、様々な事が書かれていますが、谷崎と云う人がなんとなく分ってくるような内容です。
※以上を書いた後、別のエッセイを読んでいたら、「雪後庵」と云う名前は、「細雪」の印税で土地を贖ったからだ、と書いてありました。
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